2004年10月、九州に引越ししてすぐのこと、もっと西氏が「ちゅりさん、私の仕事をちょっと見てみませんか?」と言った。
その仕事部屋には、何台ものパソコンとモニターが並んでいて、雑然とはしていたが、でもものを作り出す雰囲気が濃厚に漂っていた。
彼が何を考えているのかもよく分からないまま、私はそのモニターを眺めたものだ。
それが私と「大嫌いなベンチャー」との繋がりの第一歩だった。
そう、私は「ベンチャーが嫌いっ!」と公言して憚らない。
でも、九州に移住して、もっと西氏に紹介してもらった最初の仕事は、そのベンチャー企業から頂く動画の仕事だった。
面接とは名ばかりの「顔合わせ」に伺ったその事務所は、大人4人も入ればいっぱいになりそうな、本当に小さいマンションの一室。
とてもアットホームな雰囲気で、内心ちょっとほっとしたものだ。
でも、その事務所も、あれよあれよという間に何十人もの社員を抱える大所帯になり、私が九州支社の動画制作にかかわった最初のメンバーの一人だと知っている人もわずかになってしまった。
会社が大きくなれば、身動きも鈍くなる。
それに気が付いたあたりで、私はSOHOとして、その会社からお仕事を請け負うことを大いに躊躇し始めた。

■戦友からのプレゼント■
辞めると決めると行動が早い私なので(笑)、すぐに次の収入源を見つけ、お世話になってきた当の会社にその旨お知らせした。
長いことかかわってきた仕事なので、当然スムーズに辞められたわけではない。
でも、最後の納品日となったその日、思わぬプレゼントが私の前にたくさん差し出された。
会社の演出部門を支えるリーダーS氏の声に応えて、私の周りに集まる若いクリエーターたち、大きな花束、ずっと私をフォローしてきてくれた姐御たちからのかわいいクッキー籠、そして、サプライズビデオ。
本当に嬉しかった。
涙を堪えるだけでも大変な努力が必要だった。
「ベンチャーなんか嫌いっ!」と言い続けてきた私が、その中で一緒に戦ってきた若い若い仲間との別れを「辛い」と感じていた。
不思議な感覚。。。

サプライズビデオでは、私と会社をずっと繋げていてくれたN田氏が、私が初めて訪れた小さいマンションの一室から、現在の事務所へと道案内してくれていた。
そしてその事務所で働く仲間たちからの、激励の言葉と笑顔がいっぱい詰まっていた。
泣きながら、でも笑ってそのDVDを見終わった私は、「よしっ!」と立ち上がって次の目標に向かって歩き始めた。
この2年を無駄にはしないよ、みんな!
みんなはそこで、もっと大きくなりなさい!
私がそこに行かなくても、毎週金曜日は来るんだよ!
だからしっかり頑張ってね!私もここで頑張る!
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